めんおうブログ

主夫ライターの日々と、よりよく生きるためのちょっとしたコツなど。

妻からの一言が意外で衝撃的過ぎて、一瞬頭の中が真っ白になった。

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仕事が終わって、家に着いたのは24時を少し回っていたが、子どもを寝かしつけた妻は、居間で本を読んでいた。

 

わたしは、外から帰り、居間の温かい空気の中で仕事の心地よい疲れを感じた。居間に入り、リュックを下ろしてジャケットを脱ぐと、その場に大の字になった。夜遅く帰ってくると、すぐに風呂に入ればいいものの、おっくうになる。床の冷たさを背中に感じながら、仰向けになったところに直接降るLEDの明かりがまぶしく、目を細める。

 

すぅーーー。。。はぁーーー。。。と、脚は大の字のまま、目をこすりながら深呼吸すると、家に帰って来た安心感でほっとする。

 

深呼吸を終えて再び大の字になって、何を考えるでもなく、ぼーっとしながら天井を眺めていると、妻が「今日もお仕事お疲れ様。。。あと二年はがんばってね」と言った。あーい、と上の空で聞いていた妻の声に返事を返しかけたが、妻の言葉に引っ掛かった。

 

 

 

???・・・ん?どういうこと???あと二年て??

 

 

 

眠気と疲れで回転していなかった頭が、少しずつ回転し始める。大の字だったわたしは、上半身を起こした。前半部分は理解できる。単純に「お疲れ様」という感謝の言葉だろう。小学生でもわかるだろう。問題は後半部分の「あと二年はがんばってね」である。これは30過ぎのおじさんでも意味がわからない。

 

 

 

二年後に何があるんだ?がんばらなくてよくなるってこと?と訳がわからなかった。

 

 

 

「あと二年がんばるってどういうこと?」と率直に聞くと、「子どもに手がかからなくなって、わたしが働いて一年に300万くらい稼げば、あなたは今の仕事辞めても大丈夫になるでしょ?あなたにはバイトなり、なんなりで100万くらい稼いでくれれば暮らしていけるでしょ?最近疲れてるみたいだから」という答えが返ってきた。

 

ぽかーーーーん。。。意外すぎて、衝撃的過ぎて、一瞬頭の中が真っ白になった。

 

君は、実は、〇〇星からやって来た〇〇星人で、人間じゃないんだよ、とその星からの迎えが来たり、君は、実は、数年前から実体のない幽霊だったんだよ、周りはそのことを知っていて、今まで知らなかったのは君だけだったんだよ、と言われたりの漫画や映画のようなできごとが自分に起こったのと同じようなインパクトがあった。人間は、あまりに予想外のことが起こると、一時的に思考停止になるということがわかった。

 

 

 

バイトで一年100万。時給1000円としたら、1000時間。365日で割ると、一日3時間働けば稼げるお金だ。今は、通勤も併せると一日10時間以上働いている。この圧倒的な時間的自由度。広がる可能性。こんな妄想の経験は、これまでの人生において一度もない。

 

バイトでなくてもいい。100万稼げば、それ以外の時間は何に使ってもいい。どうせならふわっとした感じでお金が稼げればいいなぁ。株?アフィリエイト電子書籍?・・・最近聞き覚えたばかりで、かっこいいイメージのある単語を頭で並べてみるが、どれもが30過ぎた家族持ちには危なすぎるよ、と本能的な心の声が聞こえた。

 

その一方で、仕事を辞めて、一日数時間のバイトと家事の生活ってどんなふうになるんだろう、とワクワクしながらつぶやく声も聞こえた。今の仕事がつらいわけでも、不満があるわけでもないが、「こういう生活、人生」もありかな、と思ったのである。最低限暮らしていけるお金があって、子どもの教育に不自由しなければ、その範囲内でいくらでも幸せな人生を歩んでいけると思う。

 

ただ、圧倒的な自由の中には、自分でやることを決めなければならない、という不自由さがある。子どもは手がかからなくなっているから、間違いなく今よりも自由度の高い生活になるだろうが、時間的空白を自分で埋めなければいけない苦しさもあるはずだ。それに、そもそも経済的にそんな生活自体が成り立つかどうかもわからない。

 

「体を壊されるくらいなら、稼ぎが減っても負担の少ない仕事をしてくれればいいと思ってる。でも、家事だけはしてね」と妻は続けた。

 

眠い頭では、妻の言葉を聞くのが精いっぱいで、これまで経験のないスケールの想像に追い付かなかった。もちろん、今の仕事でやりたいことがあるし、全然納得していないから、定年まで辞めるつもりはない。

 

ただ、「本当に限界になったときの選択肢」ファイルと名前を付けて、頭の中の「使うかもしれないデータ」フォルダに入れておくくらいはしてもいいかな、と思った。逃げ場がある、という気持ちをもつこと自体、精神的にはずっと楽になる。人生いろいろ、何をしていても、生きているだけで丸儲けとは、まさに真実なんだ。