めんおうブログ

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ベンチャー企業の弱さを見た。このままではまずい、と思った。

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前書き

先日、朝礼担当(記事本文で細部説明)を任された。この際、この会社は、勢いはすごいが、ベンチャー企業としての決定的な弱さがあるな、と確信したところがあるので、これについて記録しておきたい。

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確信したこと

昨日わたしは、店長から朝礼担当を任された。そもそも、朝礼担当とは何か、これだけではわかりにくいと思うので、その経緯を説明しておく。

 

わたしの勤め始めた企業は、主にラーメン店を展開している企業で、立ち上げから約10年のベンチャー企業である。ベンチャー企業といっても、10年続く企業というのは実は稀で、新興企業全体の5%に過ぎないと言われている。つまり、95%の企業は、起業してから10年以内に廃業するということであり、逆に言えば10年続けば立派なもので、ある程度の信用を得始めた企業ともいえるだろう。

 

しかし、店舗展開を急激に進め、売り上げを大きく伸ばしている一方で、「ベンチャー企業の弱さ」についても垣間見える。いろいろな要素があるが、その弱さを一言でいえば、組織管理能力の乏しさ(末端まできめ細かい管理ができていない)、である。もちろん組織を拡大する中で、企業の経営中枢には優秀な専門家などを集めて強化しているし、問題点を解決しようとはしているだろう。しかし、本社(経営陣)は、組織の拡張のスピードに、現場レベルのいろいろな分野での成長が追い付いていない現状そのままに、先に行こうとしているのである。

 

 

 

組織管理、と一言で言っても、細かいところを見れば、現場(店舗)レベルが追い付いていないところがたくさんある。人材確保、教育、情報共有、人事管理、器材整備などなど・・・本社の現場に対するムリな要求がある。そして、現場に生じたムリやひずみを、現場責任者たる店長や一般社員等が規定外の長時間労働でカバーするという構図ができており、ここにブラック企業の温床がある。

 

各店長、社員等は、このような問題があることは、百も承知で現場を回している。このような中、店舗では、これまで「朝礼」というものをしてこなかった。わたしの前職では、毎日、朝礼と終礼(課業開始前と終了時)をしてきたので、今の企業に就職した当初は若干の違和感はあったが、これも組織文化かな、と思いながら勤めてきた。そんな中で昨日、経営陣からの各店舗へのいくつかの指導の中のひとつに、「各店舗は朝礼をしてから開店せよ」というものがあった。現場はこのように、とにかくバタバタしている状況なのである。

 

そして、わたしの前職が省職員であることを知っている店長が、店の朝礼の細部の要領等をわたしに任せた、ということがこの「朝礼担当」の経緯である。小さな事業(それが単なる朝礼であっても)であっても、本社の指針をそのレベルに応じて反映するのが組織というものであろう。わたしが「朝礼に関する上(経営陣)の指示は何かあるんですか」と店長に確認したところ、本社から送られてきたプリントを見せてくれた。これを見て、わたしは愕然としたのである。これこそがこの記事のテーマでもある、「ベンチャー企業の弱さを見た。このままではまずい、と思った。」である。まず過ぎ、だ。

 

そのプリントには、朝礼の目的と実施項目が記載されていた。問題は、その朝礼の目的で、「気持ちをリセットし、気持ちよく開店するため」とあった。。。省の幹部は、組織管理の実務的な教育、リーダーシップに関する教育を徹底的に受ける。その中で最も重要とされていることは、目的と目標設定についてである。組織はすべて、何らかの目的を果たすために存在し、目的達成可能な具体的な目標(実施事項)を設定して、その目標を達成(実施事項を実施)するためにすべての組織力を投じるものだからである。これらのスタート地点であり、最も重要であるのが、目的と目標設定なのだ。

 

 

 

わたしは正直、目を疑った。あまりの程度の低さに愕然としたのである。これで世界進出なんて、よく言えたものだ・・・。できるわけない。このままではまずい、まず過ぎるぜ!!(会社のことを悪く言いたくないし、これまでの省での経験ばかりを語るのはあまりにもかっこわるい、ということはわかっているので、記事にする段階でオブラートに包むこともできようが、記録として残したいので、感じたことをそのまま文字にしたい)

 

まず、示された朝礼の目的は、「気持ちをリセットし、気持ちよく開店するため」であったが、何かをしなければならないということは本社もわかっているが、それを具体的に考えていない(勢いだけでこれまで来たことの証左)、ということが現れているように思われる。また、目的と同様に示された実施項目は、意外にもまともで、前日の成果、前日の反省事項、本日の売り上げ目標等となっていた。実施項目から逆行的に考えることにはなるが、これが実施項目であるならば、朝礼の目的は「前日の成果、売り上げ目標等について店舗内スタッフの認識統一をして、売り上げ目標達成のために店舗の全力を発揮した営業をするため」であろう。目的や、目標を見失うことは、組織管理のスタート地点において勝負に負けることになる。目的、目標の設定とスタッフへの徹底は、組織管理において基本中の基本であるが、意外に難しい。今回は、コトが小さいし、実施項目自体は間違いではなかったので問題ないが、一事が万事、目的を見誤ると、組織を誤った方向に導き得ることは、先の大戦の歴史を例示するまでもなく明らかである。

 

 

 

最後に、もう少しわかりやすい別の例で目的と目標(実施事項)の設定について考えたい。

 

例えば、ステーキガストに家族で出かけたとする。店に行ってみると、「本日休業」の貼り紙が・・・。こんな時、みなさんならどうするかを考えていただきたい。家に帰ってステーキを焼くか、ステーキガストはあきらめて近くのハンバーガーショップに入るか、別のステーキガストを探すか・・・いろいろな代替の選択肢があるが、どれを採るかは、ひとえにステーキガストに行った目的は何か、による。外食することで家族団らんしに行ったのであれば、ステーキガストがきゅぎょうだからと言って、家に帰ってステーキを焼くことにはならないだろう。または、ステーキを外の店に食べに行ったのであれば、近くのハンバーガーショップに入ることはないだろう。このように、行動はすべてその目的如何によるのである。これが個人や家族の行動ですら大きく変えるのだから、組織管理におけるその重要性は言わずもがなである。

 

 

 

朝礼に関する本社からのプリントを見て、正直悲しさすら覚えた。こんなもんかよ・・・と思ったのである。勢いだけじゃん、と。しかし、少し時間をおいて考えたら、だからこそ頑張りがいがあるし、まだまだ伸びしろがあるのではないか、とも思えてきた。そう思うしかない、と考えた。

 

おれがやらなきゃ、だれがやる。わたしは学術的な組織論については勉強していないが、実務的な部分については、かなり経験してきた。これまでの経験を最大限に生かせるよう、今はしっかりと問題点や現状を把握し、来るべき時が来たら全力をもって組織を末端から立て直していきたいと思う。まずは、店長を任されること、そして、店長として、しっかりとスタッフが休みながら全国で一番の成果を出せる店舗を作り上げていきたい。これをモデルケースとして上層部に認めさせ、店舗管理の基本形にすることが当面の目標である。

 

店は本当に最高のラーメンを提供できる。それをこのままで終わらせたくないのである。