「時間の切り売り」を超えていきたい
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働き方についてのいろんな記事や本を読んでいると、以下のような考え方を見たことがある。
会社員やバイトは、結局は「時間の切り売り」であって、なにかを作り上げることに価値があるわけでない。
だから会社員はつまらない。
フリーランスになって、「価値」を販売するのがいい。
※「時間の切り売り」というのは、仕事の成果よりも職場にいる時間で評価されたり、会社から職場にいる時間を求められたりすること。
転職前、国家公務員として働いていたころは、この「時間の切り売り」という感覚は捉えどころのないものだった。
しかし、転職後、ラーメン企業で働くようになってから、「時間の切り売り」という感覚を感じることが多くなったのである。
これは、毎日行う勤怠登録や、店長の発言がきっかけだ。
勤怠登録は、入店、退店の際に指紋認証で行うもので、個人を認証した瞬間に、だれが何時から何時まで働いて、計何時間勤務、残業何時間、深夜勤務何時間というのが登録される。
別の操作をすれば、月単位での勤務時間等を確認することもできる。
会社にとって、おれはおれではなくて、時間なのか・・・
また、店長もよく、「だれだれはあと何時間使える」(←使えるって表現、マジでやめてほしい)「何時間残ってるから、働いてもらわないと困る」ということを言う。
店長の気持ちもわかるけど、これを公言しないでほしい。
これは、労働時間管理の話であって、人を労働時間そのものとしてとらえていると誤解される言い方ではないだろうか。(それか、誤解ではなく、そういうふうに思っているのかもしれないが・・・)
前の職場でも、8時15分登庁、17時退庁が規定されていたことから、勤務の根底には「時間の切り売り」的なルールが敷かれていたと思う。
しかし、それでも求められた成果をしっかりと果たすことができれば有給をどんどん使っていいという風潮だった。
勤怠登録もなかったし、だれだれはあと何時間使えるというような発言をする上司もいなかった。
今の職場で、休憩時間に一人になったときなどに、パソコンの画面に目をやると、自分がシフトインしている表示が見える。
自分が記号化されている。
自分は会社にとって、労働時間としての価値しかない。
こういうふうに感じる瞬間である。急にモチベが下がることが多々ある。
やっている仕事を「時間の切り売り」だと思うと、もっといい仕事をしようという気持ちが萎えてくる。
ではどうするか。
同じ時間でも、自分でしか出せない価値を出していく、ということしかないと思う。
店長以下、現場店舗に求められるものは主に、「いい営業」だ。
「いい営業」とは、わたしは、「お客さんの期待を超える営業」だと思っているが、接客、料理、提供、清掃、気配り、空間づくりなど、お客さんの立場で考えて、求められる以上のものを出すことだ。
だまっていたら、勤怠登録の制度がなくなるわけでも、店長の発言が変わるわけでもない。
であれば、「時間の切り売り」的な感覚で仕事をしたくないなら、自分にしか出せない価値を出していって、時間当たりの濃度を濃くするしかないと思う。
飲食店の営業は、その成果が明確な形の何かとして残されるわけでもないし、成果が出るまでに半年以上かかるもの。
だから、短期的な成果を求めるわけにはいかないけれど、それでも、日々の仕事を「時間の切り売り」したくないし、してはいけないと思う。
「時間の切り売り」を超えていきたい。
これは、今、わたしがヒラ社員として持っている感覚なのだけれど、きっと将来、同じような悩みを抱える社員と一緒に考えていく問題なんだと思う。
仕事でやる気を出す、出させる、モチベを維持するってなかなか難しいですね。