めんおうブログ

主夫ライターの日々と、よりよく生きるためのちょっとしたコツなど。

店舗展開ばかりを進めた先にあるのは闇だと思う

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転職して入社した会社は、ラーメン企業。

直営店舗数は50店にもなるが、創業10年程度のまだまだ若い会社だ。

「若いがゆえに」なのかもしれないが、業績はよく、店舗展開の勢いはかなり激しい。

今わたしが勤めている店舗もオープンしたばかりの店で、新しいメニューを勉強したり、経験のないスタッフを教育たりは、楽しくも、結構大変である。 

 

そんな中、先日、別のオープンしたばかりの系列店にヘルプ(人手が足りない他店のシフトに入ること)に行くことになった。

その時に強く感じたのが、店舗展開ばかりを進めた先にあるのは闇だということだ。その店舗で、闇の一端を見たからである。

入社した当初から、会社の足並みのそろっていない感じがしたことは何度かあったが、今回のヘルプでは、それどころか闇が見えてきたので、書かずにはいられなくなった。

ヘルプ先でのできごと

闇の話に入る前に、そもそもそヘルプ先店舗が抱えている問題を書いておく。

それは、オープンしたての店舗なのに、店が別の会社の店に変わることが決まっているということだ。

箇条書きで整理すると、こういうことだ。

  • ラーメン業界では、会社同士で「ここにはうちが出店するから、あなたは出店しないでね。会社同士でパイの取り合いはやめましょ」という縄張りがある場合がある。
  • うちの会社が、他の会社の縄張り内に出店(←調整がうまくいかなかったそうです)
  • オープン直前に、会社同士の再調整の結果、オープン1カ月後に相手の会社に店を譲ることが決定
  • 予定通り、うちの会社の店としてオープン
  • オープン店長は、現在、その店の店長という職務のまま、別の新店の店長として出張中
  • だから、一般社員が店舗責任者(しかも、もうすぐ別の会社の店になる店のね!涙)
  • あと数週間で、店を譲る予定。その他、いろいろな理由から、全スタッフのモチベは最悪(←今ココ)

わたしもこれを聞いたとき、マジで!?こんなことってあっていいのかよ!?と思った。

 

実際、店の状況は予想以上のヤバさだった。どのくらいヤバイかを、営業開始前、営業中にわけて整理してみる。

【営業開始前】※わたしのシフトは、10時~18時。

  • 10時の時点で店全般のことがわかる社員がいないし、必要な情報共有がなされていない(わたしはキョロキョロしながらピッチャーに氷入れるしかなかった)
  • 営業開始直前に社員が来るも、挨拶なく、パソコン業務をちゃちゃっとやったのち、会釈のみして「また16時頃きまーす」と言って帰る。
  • バイトの子は、スープの正しい作り方の中のいくつかの工程を省いており、おいしくないスープが出来上がっていた!!

いや、いいんですよ。

別に、忙しい自店舗が負担してヘルプに来たわたしに挨拶がなくても、いいんです。(ホントはよくないよ!)

ただ、「〇〇さん、テンション低くない?」とバイトの子に聞くと、「いつもそうです」という答えが返ってきたことにびっくりしたのだ。

遅番明けならまだわかるけど、いつもって。。。オープン直後に他の会社の店になることわかったら、そりゃモチベも下がるけどさ・・・

 

あとは、レシピのいくつかの工程を省いていること。

これはもう、ダメ。ホントにダメ。どこの店でも見たことのない光景だ。お金を払って食べにくるお客さんに出すものに手抜きはダメだよね、絶対に。(提供できる基準をかろうじてクリアする程度)

 

営業中も、モチベの低さ、教育のいきとどいてなさが、こんな感じでヤバかった。↓

【営業中】

  • 笑顔も元気もない。
  • 手が空いていても、プラスアルファの動きは全くない。
  • チャーハンの作り方、まずすぎよ。
  • 物がよくなくなる、物を大切にしない
  • 厨房内の清掃ができてない

説明すると、きりがないので、チャーハンの作り方だけ詳しく。。。

わたしは営業中、スタッフに指示を出しながら、ラーメンを作っていたけれど、横の焼き場で、チャーハンを作っているスタッフの様子がおかしいことに気が付いた。

中華鍋に、ご飯や卵を入れているのに、ジューという焼ける音も煙もなかったのである。

いやいや、そんなはずないよなと思いながら、しばらく見ていると、調味料、薬味を入れて、ご飯をかき混ぜ始める段階にあるのに、一向に音と煙はなかった。

ちょちょ、ちょい。。。

さすがに、このままいったらまずいということで、失礼なのは承知で、「あのさ、火、ついてる?」と聞いた。

すると、「ついてますよ」と鍋を上げて見せてくれた火は、一番の弱火だった。ちなみにチャーハンは、工程の9割を強火で作るのは基本中の基本だ。

彼女の話によれば、「〇〇さんは、最後だけ強火にすればいい」ということだそうだが、そんなはずはない。

内容も間違いだし、万が一そんな教え方をしていたとしたら、それも大問題なわけである。

チャーハンの作り方が間違ってることくらいはと思って教えようとしたが、暇がなく、彼女はシフトを終えて帰ってしまった。積極的に聞きに来ることもなかった。

 

こんな店が、同じ会社の系列にあることにかなりショックを受けたし、廃業していく店や、落ちていく会社の一端を見たような気がして、とてもいやな気持になった。

これが、わたしの見た闇である。

結局、店舗展開に「人」が追い付いていないということ

会社は、年間20店舗くらいのペースで店舗展開を進めると言っている。

  1. 社員が入らない
  2. 入ってもすぐ辞めていく
  3. そもそも教育には時間がかかるし、現場に余裕がない。だから人が育たない

※人材不足の三段活用である。(笑えない冗談)

 

人が育たない状況なのに、店舗展開だけが進む。

サービスの質が下がる。

お客さんが入らなくなるし、常連さんが離れていく。

その波が広がり、会社として立ち行かなくなる。

 

会社の規模が小さかった頃とは違い、仕事は仕事、それ以外は仕事のことは考えたくないというスタッフも増えている。だからなおさら人を育てるのが難しくなっている。

飲食に限らず、店舗展開戦略に失敗して市場を去ったり、規模を縮小したりした企業は多い。

その轍を踏みかけているのではないか、うちの会社、このスパイラルの中にいるんじゃないかと心配でしかない。

店舗展開ばかり進めた先にあるのは闇だと思うので

店舗展開ばかり進めた先にあるのは、会社規模の縮小、最悪の場合「倒産」という闇だと思う。

今回のヘルプを含め、これまでの経験から感じることは、以下の3つだ。

  1. 人が十分育っていないのに店舗展開が激しく進められていること
  2. 1にも関連するけれど、正しいやり方や作法が伝えられず、末端に行くほど薄まっていること
  3. 現場に余裕がなく、営業を回すので手いっぱいになりがちな事

 

経営に関する専門知識がなく、転職して間もないわたしは、現場感覚からしか言えないが、店舗展開は人の成長に合わせて進めてほしい。

 

これでは、見えないところでどんどん正しいやり方が伝えきられずに行ってしまう。

社長臨店など(社長などが一店舗に来て、営業状況などの現場確認をすること)はあるけれど、その時には店舗として万全の準備をする。どこまで現場の状況を把握されているのかはわからないし、報告される数字だけでは見えないところがほとんどだろう。

だからこそ、経営陣には、もっときちっと現場を見てほしいし、現場からの本音や現状が上に届きやすくなるようにしてほしい。

 

この会社は、社長の個人営業店から始まった。その時の味や雰囲気が出なくなったら終わりだと思う。

それができているのか、できていないのか。できていないならできるようになるまで、どのくらいの時間や人材が必要なのか。

こういう現場の声が、飾りっ気なしで経営陣に届くような雰囲気をもってほしい。これは、会社の規模が大きくなるほど難しくなるのだろうけど、昔はあったはずだ。

 

また、経営陣は、前進速度を落とすという「一種のやめる勇気」を持ってほしい。

現場はかなり苦労しているけれど、何とかやれる状態だから、今はまだいい。でも、このペースのままでいったらまずいのは、間違いない。

当初計画していたことをやめたり、スピードを落とした方がいいというのは、思っていても、経営者の取り巻きはなかなか口に出せないかもしれない。

経営者として、決定するのにもかなり勇気のいることだとは思う。

でも、もうすでに、上に書いたような急な店舗展開のひずみが出始めている。

 

わたしは、この会社の理念、味、職場の人間関係、仕事の内容全てが大好きだ。

だから、お客さんには、出し得る最高のものを提供したい。他の店が落ちていくのを見たくないし、会社が変な方向に行くのも見たくない。

店舗展開ばかりを進めた先にあるのは闇だと思うから、人が育つのをちょっと待ってほしい。

現場では、通常の営業や管理をしながら責任をもって、しっかり教育もする。だから、こういう努力や思いきちっと評価して、戦略的に正しい判断をしてほしいと心から思っているのである。