めんおうブログ

主夫ライターの日々と、よりよく生きるためのちょっとしたコツなど。

【レンタルなんもしない人】自分のレンタルから本や漫画の出版、テレビまで。「なんもしない」生き方を取材しました。

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レンタルなんもしない人。

 

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なんもさんは、2018年6月に「なんもしない自分を貸し出す」サービスを始め、今では新聞の取材、本や漫画の出版からテレビ出演まで引っ張りだこです。

※レンタルなんもしない人は、レンタルさん、なんもさんなどと呼ばれているそうです。(わたしは取材時、なんもさんと呼んでいました)

 

▼なんもさんの本は、Amazonで買えます。(電子書籍あり)

レンタルなんもしない人のなんもしなかった話

レンタルなんもしない人のなんもしなかった話

 

 

 

副業解禁、年功序列制度の崩壊、年金足りない問題など、今の働き方に不安や悩みを抱える人も多いと思います。

 

「なんもしない人のレンタル」の経歴、レンタルサービスの内容からどんな働き方、生き方なのか。取材させていただいたので、そのすべてをまとめます。

レンタルなんもしない人の経歴など

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  • 本名:森本祥司
  • 年齢:35歳(1983年生まれ)
  • 学歴:阪大卒、阪大大学院卒
  • 略歴:出版社、フリーライターを経験。自分が「何もしたくない人」だということに気づき、プロ奢ラレヤーさんからヒントを得て「レンタルなんもしない人」へ
  • 住所:東京(国分寺付近)
  • 備考:妻、子1。本の出版、テレビ、雑誌、新聞社からの取材多数

個人情報については、あまり隠されてはいないようですね。

レンタルなんもしない人のレンタルサービス

なんもさんのTwitterの固定ツイートです。

 

 

ポイントは以下の通りです。 

  • 基本なんもしないで、そこにいるだけ
  • レンタル代は「1万円と、国分寺駅からの交通費と、現地でかかる諸経費」
  • DMから依頼

※2019年9月中旬までは無料レンタルサービスでしたが、有料サービスになりました。

 

レンタルを希望する場合は、DMから依頼します。

なお、なんもさんのツイートでは、レンタルされている様子が毎日発信されています。

 

 

 

 

 

レンタルのお仕事は2019年10月時点で1,500件にもなるほどで、同行もの、列に並ぶものから、ただそこにいてほしいというものまでそのバリエーションも幅広いようです。

 

主な発信活動はTwitter

見ていると、自分自身の生き方や価値観を見直せるツイートが多く、何か、毎日内容が変わっていく小説を読んでいるような気持ちになります。

 

ここまで読んでいただき、なんもさんの経歴や活動内容などについて知っていただけたと思います。

以降は、なんもさんの価値観など、もっと深いところを取材した内容を紹介します。

なんもしなくなってから、生きやすくなった

ーーーなんもさんは、会社員、フリーランスなどを経験され、結果「しんどい」、「つまらない」と感じるようになったと言われていました。その働き方は、なんもさんが望んだわけじゃなかったんですか?

 

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「いろんな『外圧』から就職を決めました」 

 

そうですね。

 

まず、学生生活が長すぎました。

大学は一留してますし、大学院も含めると7年も学生をしてました。

 

院と言っても学生ですし、甘えもあって昼まで寝てたり、テキトーに生活していたというのもあります。

周りはみんな就職していったし、当然ですが親からも「早く就職しろ」と言われていて、自分もなんだか申し訳ないやら、焦るやらで「とりあえず就職」という感じでしたね。

 

お金が、とか、生活がというよりは、周りから言われて申し訳ない気持ちになって就職、という話です。「外圧」だったんですよね、進路の決め手が

 

 

ーーーなんもしないサービスを始めてからは「しんどい」というのはないんですか?

「しんどい」というのはありません。

 

いろんな人の話を聞けるし、経験ができるので旅行みたいにおもしろいです。

「有名店の行列に並んでほしい」など、同じような案件が重なった時の「案件ごとの飽き」は感じることはありますが、「しんどい」ではないです。

 

それに、気が向かない時はそういう案件が連続にならないように、調整できるので。

 

 

ーーー会社員時代は「しんどかった」ということですが、その原因って何だと思われますか?会社員に限らず、いろいろな場面で「消耗」という言葉が使われるようになりましたが。

 

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「会社もフリーランスもしんどかったです」

 

そうですね。

会社員とその後はライティングをしていた時期もありましたが、結局神経をすり減らしてただけだったんですよね。

とにかく「しんどくて」、辞めたい辞めたいという感じで、辞めました。

 

会社もフリーランスも続かなかったんで、「自分は何もしたくない人なんだなぁ」って思ったんですよね。

それで私のしたい事が、「何もしないこと」だったと気づいたんです。

 

よく社会では、「何が求められているかを意識すべき」と言われるじゃないですか。市場での需要と供給という話です。

 

でも、そうじゃなくて、需要と需要だと思うんですよね。

 

 

ーーー需要と需要ですか?

 

はい。

働く側のやりたいこと(需要)とサービスの受け手の需要です。

 

「好きなことを仕事にする」というのと似ています。

 

やっぱり、自分がやりたいこと、私の場合は「なんもしないこと」ですが、自分の需要と社会から求められる需要が一致してないと、どこかにストレスがかかる。

それが消耗につながるし、続いていかない原因かなと思います。

 

そういう意味で今は、僕の「なんもしたくない」のと、レンタルサービスや発信活動を求めてくださる方がいるという意味でお互いの需要と需要が一致している状況です。

なんもしなくなってから、生きやすくなったんですよね。

 

「嫌なこと」、「したくないこと」の本質は人間関係にある

ーーー「なんもしない」ってどういう意味なんでしょうね。実際、なんもしないと言っても、何かしらしていることはあるわけで。

 

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「嫌なことはしたくないんです」

 

嫌なことはしないってことかなと思ってます。

DMいただいて、見た瞬間に「あ、やだな」って思うものですよね。

 

 

ーーーなるほど。

でも、例えば「机を運ぶ」というなんもしないわけじゃない依頼があったとするじゃないですか。

こういう依頼、同じ内容でも嫌だなって思うときと、そうではないときがあるんです。

 

僕は固定ツイートに、「ごく簡単なうけこたえ以外なんもできかねます。」と書いてありますよね。

 

 

でも、よく机を運んで、みたいな「これやってほしい」という依頼が来ます。ひどいときは「何ならできるんだよ!?」と聞かれるのもあります。

 

そういう時は、もう「やだな」って思いますよね、「ツイート見てよ」と。

 

でも、「サービスの内容は理解してますが、これをしてほしいんです」という前置きが

あれば「してあげようかな」という気にもなるんです。不思議ですよね。

 

だから、「なんもしない」というのは「嫌なことはしない」であって、その本質は人間関係にあるのかなと。

どういう人と同じ空間で同じ時間を過ごすか、ということなのかなと思ったりしてます。

  

その時の気分に素直になることを大切にしたい

ーーーこれからも、活動を続けていかれると思いますが、これからのことって何か考えておられますか?

 

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「正直、あんまり考えてないんです」

 

いやぁ、なんも考えてないんです。

飽きるまでやろうかな、というくらいです。今のところは飽きてないんで、しばらくは続けるつもりです。

 

 

ーーー将来のことで、不安になることとかはないんですか?

それはよく聞かれます。

 

もちろん考えたこともありますよ。

でも、考えたらいくらでも不安になるし、悩んだところで答えは出ないんですよ。

 

何かの本に「現代人は考える病にかかっている」という趣旨の一節がありました。要は、考え過ぎだと。

 

それに、考えたことって、本当に的中するの?って思いませんか。

これは、プロ奢さんが言ってたんですが「考え過ぎて行動をためらうのは自惚れだ」ということなんですよ。

自分の想像力を過信してると。

 

将来のことなんてわからない。年金が2000万円足りないとか、定年延長だとかが話題になりますが、そんな30年以上も先のことって、考えてわかるものだとは思えないんです。

 

考える時間がもったいない、不安になっても何も解決しない。だったら、とりあえず思いついたことをやってみよう、ということです。

貯金だって多少はあるし、どうにもならなければ、その時のためのセイフティネットだってあるんです。

 

だから、その時の気分で動く、ということを一番大切にしたいですね。これからも。

 

 

取材させていただいて

わたし自身、新しい発見がたくさんできた取材でした。

質問内容は抽象的なものが多かったのですが、熱心に聞いてくださり、その回答もわかりやすかったです。

 

特におもしろく感じたのは、「その時の気分で動きたい」というあまりにも純粋過ぎるお話です。

 

 

レンタルサービスを始めてから、本の出版やテレビ出演までされています。

これほどまでに注目を浴びているのは、みんな実は「なんもしたくない」し、「その時の気分で動きたい」と思っているのに、それができない環境にあるからだろうなと思うのです。

 

その時の気分で動き、なんもしないで生きる。そして、それを発信し続ける。

 

レンタルなんもしない人は、現代の旅人であり、作家のようだなと感じました。

 

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※取材して考えたことを「頑張ってもうまくいかない人は、全部やめてみればいいと思った話。」にまとめ、外部メディア「コツコツ日記」さんに寄稿しました。

 

※レンタルなんもしない人の書籍です。なんもさんのこれまでのツイートなどがまとめられており、臨場感を感じながらどんどん読めます。気になった方はぜひどうぞ!

 

レンタルなんもしない人のなんもしなかった話

レンタルなんもしない人のなんもしなかった話